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安全性・リスク副作用対処
Dr. 大木沙織

こんにちは、皮膚科医の大木沙織です。

「副作用が怖くて手が出せない」という相談は、薄毛の外来でいちばん多いかもしれません。ネットで調べるほど怖い話ばかり目に入り、始める前から疲れてしまう方もいます。

ただ、副作用と呼ばれるものは症状ごとに出方も頻度もまるで違います。頭皮のかゆみのように塗り方で減らせるものもあれば、内服でしか起こらないものもあります。

どの薬でどんな症状が、どのくらいの割合で起こるのか。症状ごとに切り分けて、対処の順番まで整理しました。

育毛剤や発毛剤の副作用は、頭皮に出るもの、全身に出るもの、性機能に関わるものの3つに分けて考えると整理できます。多くは軽く、使い方や剤形を変えるだけで収まります。

頻度が高いのは頭皮のかゆみやかぶれで外用薬を使い始めた時期に集中し、内服のミノキシジルでは多毛やむくみ、フィナステリドでは性機能の変化が報告されてきました。

症状別の頻度と、そのまま続けてよい場合、受診したほうがよい場合の線引きをまとめています。

執筆・監修医師

大木皮ふ科クリニック 副院長 大木 沙織

名前:大木 沙織
大木皮ふ科クリニック 副院長
皮膚科医/内科専門医/公認心理師
略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。

所属:日本内科学会

育毛剤と発毛剤では副作用の出方が違う

同じ「髪の薬」でも分類が違えばリスクの大きさは変わるので、まず自分が使っているものを確かめてください。

医薬部外品の育毛剤と医薬品の発毛剤

育毛剤の多くは医薬部外品でいまある髪を保つ目的で作られていますが、発毛剤はミノキシジルを含む医薬品で、毛を生やす力がある反面、体への作用も強くなるのです。

分類代表的な成分主に報告される症状
育毛剤(医薬部外品)センブリ・グリチルリチン酸かゆみ・かぶれなど頭皮の症状
発毛剤(外用薬)ミノキシジル2〜5%頭皮の赤み・フケ・かゆみ
内服薬ミノキシジル・フィナステリド多毛・むくみ・性機能の変化

薬ごとの頻度は数字で押さえておく

ミノキシジルの副作用一覧を見ると、外用と内服で顔ぶれがはっきり分かれます。フィナステリドの副作用とは何かは発生率と症状で、デュタステリド(ザガーロ)の副作用と対処法は先発品との違いで押さえておくと迷いません。

いちばん多い副作用は頭皮のかゆみとかぶれ

外用薬でもっとも多いのは使い始めの時期に集中する頭皮の症状で、原因は有効成分より溶剤にあることが大半です。

刺激によるものとアレルギーによるもの

塗った直後から数時間で出る赤みは刺激によるもので、数週間から数か月たって現れるものはアレルギーが疑われます。後者はパッチテストで原因を確かめる必要があるでしょう。

溶剤のプロピレングリコールが犯人のことが多い

ミノキシジル外用薬には、成分を溶かすためにプロピレングリコールやエタノールが入っています。かぶれの原因はこちらであることが多く、フォームタイプへ変えると落ち着く方も少なくありません。

育毛剤でかぶれやかゆみが出る原因は成分表から絞り込めますし、ミノキシジル外用薬の副作用と頭皮トラブルの対策は剤形の選び方まで含めて確かめられます。

ミノキシジルの内服で体に出る副作用

内服は血液に乗って全身へ届くため頭皮以外の症状が出やすくなり、代表は多毛とむくみの2つでしょう。

体毛が濃くなるのは15%前後

低用量の内服では体毛が濃くなる多毛が15%前後で報告されており、用量が増えるほど頻度も上がりますが、中止すれば顔や腕は1〜3か月で戻っていきます。

むくみは血管を広げる働きの裏返し

ミノキシジルは血管を広げる薬なので、体液のバランスが動いてむくみが出ることもあるのです。1404人を追った研究では、重い有害事象はまれで、多くは減量で対応できたと報告されました。

ミノキシジルでむくみ(浮腫)が出る原因は?という疑問も、体毛が濃くなる多毛症が起こる理由と対策も、動悸や血圧を含む全身症状の全体像とあわせて見ておくと判断しやすくなります。

フィナステリドで報告される副作用は性機能の変化

性欲の低下や勃起の不調は数%で報告されていますが、偽薬でも同じような訴えが出るため、薬だけが原因とは限りません。

不安が症状を強めることもある

副作用の説明を受けた群のほうが訴えが多くなる現象が知られています。怖がりすぎないことも、精力への影響を減らす手立てのひとつでしょう。

抜け毛が増えるのは副作用ではない

使い始めに抜け毛が増えるのは初期脱毛と呼ばれる入れ替わりで、薬が合わなかったわけではありません。

2〜8週で始まり1〜3か月で収まる

休止期の古い毛が新しい毛に押し出される現象なので多くは1〜3か月で落ち着き、4か月を超えて続くときだけ初期脱毛以外の原因を疑ってください。

副作用が出たときにやること

症状の重さで動き方は変わり、軽い頭皮の症状と息切れや強いむくみでは扱いがまるで違うのです。

症状の重さで3つに分ける

  • 軽い頭皮のかゆみ … 塗る量と回数を守り、2週間続くなら皮膚科で診てもらう
  • 多毛・軽いむくみ … 自己判断でやめず、処方した医師に量の調整を相談する
  • 動悸・息切れ・急なむくみ … その日のうちに受診し、服用を続けるか指示を仰ぐ

やめる前に減らす道がある

量を減らす、剤形を変える、内服から外用へ移すといった調整で続けられる場合が多くあります。育毛剤の副作用が出た時の対処法と判断基準、AGA治療薬の副作用には何があるかと安全な進め方を押さえておけば、やめる以外の選択肢が見えてきます。

副作用を抑えたい人の育毛剤の選び方

リスクを小さくしたいなら外用から始めて様子を見るのが順当で、効き目は穏やかでも体への負担は軽くなります。

外用中心なら全身への影響は小さい

外用ミノキシジルが血液に移る割合はわずかで、全身の症状はまれです。副作用が少ない育毛対策として、リスクを抑えた薄毛ケアから入る進め方も理にかなっています。

よくある質問

育毛剤で頭皮がかゆくなったら使用をやめるべきですか?

軽いかゆみなら、塗る量と回数を守りながら2週間ほど様子を見て構いません。赤みが広がる、汁が出る、眠れないほどかゆいときは中止して皮膚科を受診してください。原因が溶剤なら別の剤形で続けられます。

ミノキシジルの内服で体毛が濃くなったら元に戻りますか?

中止すれば戻ることがほとんどです。顔や腕は1〜3か月、脚は4〜5か月かけて元の状態に近づきます。見た目が気になる場合は、やめる前に量を減らせないか処方した医師に相談してみてください。

フィナステリドの副作用はどのくらいの割合で起こりますか?

性欲の低下や勃起の不調が数%で報告されており、偽薬を飲んだ群にも同程度の訴えがあります。国内の調査では全体の発現率が1%を下回った報告もあり、必要以上に恐れる数字ではありません。

発毛剤の副作用が心配なら育毛剤だけにしたほうがよいですか?

進行の程度によります。医薬部外品の育毛剤は体への負担が軽い一方、進んだ薄毛を押し戻す力は限られます。まず外用の発毛剤から試し、頭皮の症状が出なければ続けるという進め方が現実的でしょう。

ミノキシジルで動悸がしたらすぐ受診したほうがよいですか?

動悸や息切れ、急なむくみが出たときは、その日のうちに受診してください。頻度は高くありませんが、心臓や血圧に関わる症状は自己判断で様子を見ないほうが安全です。持病がある方はとくに早めに動きましょう。

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