フィナステリド(プロペシア)で性欲低下する?副作用の確率を解説

フィナステリド(プロペシア)で性欲低下する?副作用の確率を解説

フィナステリド(プロペシア)を飲み始めたいけれど「性欲が落ちるのでは」と不安を感じていませんか。ネット上にはさまざまな情報があふれており、必要以上に怖がってしまう方も少なくありません。

結論から言えば、臨床試験でフィナステリド1mgによる性欲低下が報告された割合は2%未満であり、プラセボ(偽薬)との差もごくわずかでした。さらに、副作用の報告率には「ノセボ効果」と呼ばれる心理的な影響が大きく関わっていることも分かっています。

この記事では、実際の臨床データと論文をもとに、フィナステリドの性欲低下リスクを正しくお伝えします。服用中の対処法まで丁寧に解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

フィナステリドで性欲は本当に低下するのか?臨床データが示す発生率

フィナステリド1mg(プロペシア)による性欲低下の発生率は、大規模臨床試験において2%未満と報告されています。多くの方が心配されるほど高い数字ではなく、プラセボとの差もきわめて小さいのが事実です。

AGA治療で使われるフィナステリド1mgの性欲低下リスクは2%未満

フィナステリドは、男性型脱毛症(AGA)の治療薬として世界中で広く使用されています。日本でもプロペシアの商品名でなじみ深い薬です。

大規模な臨床試験では、フィナステリド1mgを服用した男性のうち性欲低下を訴えた人の割合は1.8%前後でした。一方、プラセボを服用した群でも1.3%程度の性欲低下が報告されており、両者の差はわずか0.5ポイント程度にとどまっています。

プラセボ群との差はわずか──大規模臨床試験の結果

1998年と1999年に実施された大規模試験では、フィナステリドによる性的副作用の発生率がプラセボとほぼ同等だったことが確認されました。しかも、服用期間が12か月を超えても副作用の発生率は増加しなかったのです。

さらに、副作用が出た方のなかにも服薬を続けるうちに症状が消失したケースが多く見られました。薬の直接的な作用というよりも、心理的な要因が影響していた可能性を示唆する結果といえるでしょう。

フィナステリドの性的副作用に関する臨床試験データ

副作用の種類フィナステリド群プラセボ群
性欲低下1.8%1.3%
勃起不全(ED)1.3%0.7%
射精障害1.2%0.7%

5年間の長期服用でも副作用の発生率は下がり続ける

長期追跡調査では、フィナステリドの性的副作用の発生率が治療5年目には0.3%以下まで低下したことが報告されています。長く飲めば飲むほどリスクが高まるという誤解がありますが、実際はその逆です。

また、副作用が理由で服薬を中止した方だけでなく、服薬を継続した方でも症状が自然に消えるケースが確認されています。つまり、初期に感じた違和感がそのまま続くわけではありません。

プロペシアの副作用一覧と性機能障害が起こる確率

プロペシア(フィナステリド1mg)の副作用は性欲低下だけにとどまらず、ED(勃起不全)や射精障害なども報告されています。ただし、いずれの症状もプラセボと比較して大きな差はなく、多くの場合は軽度で一過性です。

性欲低下だけではない──ED・射精障害も含めた全体像

フィナステリドの性的副作用として報告されるのは、大きく分けて3つあります。性欲低下、ED、そして射精障害です。いずれも発生率は数%以下で、臨床試験においてはプラセボ群でもほぼ同程度の報告がありました。

これらの症状は単独で現れることもあれば、複数が同時に起こることもあります。ただし、薬を中止すれば多くの方で症状は改善されるため、過度に心配する必要はないでしょう。

メタ分析で判明した性機能障害のリスク倍率

15件のランダム化比較試験(計4,495名)を統合したメタ分析によると、フィナステリド服用者の性機能障害リスクはプラセボに対して1.66倍でした。一見すると高い印象を受けるかもしれませんが、もともとの発生率が低いため、絶対的なリスク差は非常に小さいのです。

たとえば、プラセボ群で1%の人に性欲低下が起きた場合、フィナステリド群では1.66%程度になる計算です。100人に飲んでもらっても差はわずか1人程度にすぎません。

副作用が出やすい人にはいくつかの傾向がある

副作用の出やすさには個人差があります。もともとストレスを強く感じやすい方や、副作用の情報を事前に詳しく調べすぎた方は、心理的な影響で症状を感じやすくなる傾向が指摘されています。

また、年齢や基礎疾患の有無、生活習慣なども関与すると考えられます。とはいえ、副作用を感じた場合はまず担当医に相談することが大切です。

フィナステリドの性的副作用リスク(メタ分析結果)

評価項目リスク倍率(95%CI)統計的有意性
性機能障害全体1.57倍(1.19-2.08)有意
フィナステリド単独1.66倍(1.20-2.30)有意
デュタステリド単独1.37倍(0.81-2.32)有意差なし

フィナステリドが性欲に影響するDHT抑制の仕組み

フィナステリドは体内のDHT(ジヒドロテストステロン)を約70%低下させますが、テストステロンそのものは減少させません。性欲はテストステロンに大きく依存しているため、理論上はフィナステリドが直接性欲を下げる可能性は低いと考えられています。

5αリダクターゼを阻害してDHT濃度を約70%下げる

フィナステリドは5αリダクターゼ(テストステロンをDHTに変換する酵素)の2型を選択的に阻害します。DHTはAGAの進行に深く関与しているため、その生成を抑えることで薄毛の進行を食い止めるのです。

DHTは前立腺や毛包で局所的に作用するホルモンであり、全身的な男性機能を司るテストステロンとは役割が異なります。

テストステロン自体は減少しないため直接的な性欲低下は起こりにくい

フィナステリドの服用により血中のテストステロン値はむしろ若干上昇することが知られています。DHTへの変換が阻害される分、テストステロンが体内に蓄積されやすくなるためです。

フィナステリド服用時のホルモン変化

ホルモン服用後の変化性欲への影響
DHT約70%低下間接的(限定的)
テストステロンやや上昇性欲維持に寄与
エストラジオール微増の報告あり個人差あり

性欲低下とDHT濃度の因果関係はまだ完全には証明されていない

DHTが減ることで性欲が下がるかどうかは、研究者の間でも意見が分かれています。低テストステロン状態でも勃起は可能とする報告があり、DHTの低下だけで性欲が大きく損なわれるとは考えにくいでしょう。

むしろ、次の項目で解説する「ノセボ効果」のように、心理的な要因が副作用報告に強く影響しているという見方が有力になっています。

ノセボ効果が副作用の報告を3倍に膨れ上がらせた研究

フィナステリドの性的副作用には、ノセボ効果(副作用があると知らされたことで実際に症状を感じてしまう心理現象)が大きく関与しています。副作用の説明を受けた群は、受けなかった群と比較して約3倍もの性的副作用を報告しました。

「副作用があります」と告げられた群は報告率が43%に跳ね上がった

イタリアで実施された前向き研究では、120名の男性をフィナステリド5mg投与群に無作為に割り付けました。一方の群には性的副作用の可能性を事前に説明し、もう一方には説明しないまま服薬を開始させたのです。

結果は非常に印象的でした。副作用の説明を受けた群では43.6%が何らかの性的副作用を報告した一方、説明を受けなかった群ではわずか15.3%にとどまりました。同じ薬を飲んでいるにもかかわらず、知識の有無だけでこれほどの差が生まれたのです。

不安やストレスそのものが性欲低下の引き金になる

薄毛に悩んでいる時点で、多くの方は少なからずストレスを感じています。そこに「性欲が落ちるかもしれない」という不安が加われば、実際には薬とは無関係の心因性の性欲低下が起こり得ます。

精神的な緊張状態は自律神経のバランスを崩し、性機能にも悪影響を及ぼすことが医学的にも広く認められているためです。

正しい知識を持つことで過剰な心配から解放される

ノセボ効果を防ぐには、偏った情報に振り回されず、エビデンスに基づいた正確な知識を身につけることが一番の対策になります。副作用の実際の発生率を知るだけで、漠然とした不安はかなり軽減されるものです。

担当医と率直に話し合い、自分の体調や不安をきちんと伝えることも、安心して治療を続けるための大きな支えとなるでしょう。

ノセボ効果と副作用報告率の関係

項目説明なし群説明あり群
性的副作用の報告率15.3%43.6%
ED報告率9.6%30.9%
性欲低下報告率7.7%23.6%

フィナステリドの副作用を感じたら自己判断でやめてはいけない

性欲低下やEDを感じた場合でも、自分の判断だけで服薬を中止するのは避けてください。急な中止は薄毛治療の効果をリセットしかねず、また副作用が本当に薬によるものかどうかを見極めるためにも、まず医師への相談が欠かせません。

急な服薬中止は薄毛治療全体のリセットになりかねない

フィナステリドの効果は継続服用によって維持されます。突然やめてしまうと、抑えられていたDHTが再び増加し、薄毛が進行し始める可能性があります。

せっかく数か月かけて得た治療効果を手放すのはもったいない話です。副作用が気になるのであれば、まずは主治医に状況を伝えましょう。

副作用を感じたときに医師へ伝えるべき情報

受診時にはできるだけ具体的な情報を伝えると、医師も適切な判断を下しやすくなります。以下のような項目を整理しておくと、診察がスムーズに進みます。

  • 症状の内容(性欲低下・ED・射精障害など)
  • 症状が出始めた時期と頻度
  • 服薬を開始してからの期間
  • 生活面での変化(ストレス・睡眠不足・飲酒量など)

減薬や外用薬への切り替えなど代替手段は豊富にある

副作用が継続する場合でも、治療を完全にあきらめる必要はありません。フィナステリドの減薬(0.5mgへの変更や隔日投与)、ミノキシジル外用薬への切り替えなど、選べる手段は複数あります。

デュタステリドへの変更を検討するケースもありますが、こちらにも同様の副作用報告があるため、医師と十分に話し合った上で決めることが大切です。

服薬中止後に副作用が持続するケースはまれ

「ポストフィナステリド症候群」と呼ばれる、服薬中止後も副作用が長期間続く症例が報告されていますが、その頻度はきわめて低いとされています。大多数の方は薬の中止後に症状が速やかに改善されます。

とはいえ、万が一中止後も症状が続く場合には、泌尿器科や内分泌科の専門医に相談してみてください。

フィナステリド服用中に性欲を守る生活習慣の工夫

フィナステリドを服用しながらでも、日々の生活習慣を見直すことで性機能を良好に保つことは十分に可能です。運動・睡眠・食事の3つを柱に、ホルモンバランスと精神面の両方をケアしましょう。

週3回以上の有酸素運動がテストステロン分泌を後押しする

ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を定期的に行うと、テストステロンの分泌が活性化されることが複数の研究で示されています。1回30分程度、週に3回以上が目安です。

運動はストレス解消にもつながるため、ノセボ効果による心因性の症状を和らげる効果も期待できます。

良質な睡眠がホルモンバランスを整える土台になる

テストステロンは主に睡眠中に分泌されるため、睡眠の質が低下するとホルモンバランスが乱れやすくなります。できれば7時間以上の睡眠を確保し、就寝前のスマートフォン使用は控えるようにしましょう。

寝不足が続くと性欲が落ちるだけでなく、集中力や意欲の低下にもつながるため、生活全体の質を保つ意味でも睡眠は軽視できません。

過度な飲酒と喫煙は性機能に直接ダメージを与える

アルコールの大量摂取はテストステロンの産生を抑制し、性欲やEDに悪影響を及ぼします。喫煙も血管を収縮させ、陰茎への血流を妨げるため、勃起機能を低下させる原因となります。

フィナステリドの副作用を心配するなら、まずは飲酒量の見直しと禁煙への取り組みが先決かもしれません。薬よりも生活習慣のほうが性機能に与える影響は大きいという報告もあります。

  • 飲酒は1日あたりビール中瓶1本(500ml)程度まで
  • 喫煙者は禁煙外来の利用も検討する
  • カフェインの過剰摂取にも注意する
  • 亜鉛やビタミンDを含む食品を積極的に摂る

よくある質問

フィナステリドの性欲低下はどれくらいの期間で回復しますか?

フィナステリドによる性欲低下は、服薬を中止してから数日から数週間で回復するケースがほとんどです。臨床試験でも、副作用が理由で中止した方のほぼ全員が短期間で症状の改善を実感しています。

なかには服薬を続けながらでも自然に症状が消える方もいらっしゃいます。いずれにしても、症状が気になる場合は早めに担当医へご相談ください。

プロペシアを飲むと精液量が減るのは副作用ですか?

プロペシア(フィナステリド1mg)の服用中に精液量がわずかに減少したと感じる方はいらっしゃいます。臨床試験では射精障害の報告率が約1.2%で、プラセボ群の0.7%と大きな差はありませんでした。

精液量の変化が気になる場合でも、自己判断で服薬を中断せず、必ず医師に相談してください。

フィナステリドを服用中にED治療薬を併用しても問題ありませんか?

フィナステリドとED治療薬(PDE5阻害薬)の併用は、一般的には禁忌とされていません。ただし、併用にあたっては必ず処方医へ報告し、指示を仰いでください。

ED治療薬はあくまで対症療法であり、フィナステリドの副作用による症状かどうかを医師と一緒に見極めることが先決です。

フィナステリドの副作用はノセボ効果によるものだけですか?

すべてがノセボ効果とは言い切れません。フィナステリドにはDHTを抑制する薬理作用があり、わずかながら直接的な影響を及ぼす可能性も否定できないからです。

ただし、ノセボ効果の研究では副作用報告率が「知識の有無」で約3倍も異なったため、心理的要因の影響がかなり大きいことは確かです。正確な情報を得た上で冷静に判断されることをおすすめします。

フィナステリドの服用量を減らせば性欲低下を防げますか?

フィナステリドの投与量を0.2mgや0.5mgに減らしても、AGAに対する効果は1mgとほぼ同等であるとの報告があります。減薬によって副作用のリスクを下げつつ治療効果を維持できる可能性はあるでしょう。

ただし、減薬の判断は医師の指導のもとで行うべきです。自己判断での量の調整は治療効果の低下を招くおそれがあるため、必ず主治医に相談してください。

参考文献

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この記事を書いた人

大木沙織のアバター 大木沙織 医療法人緑生会 大木皮ふ科クリニック副院長

名前:大木 沙織
大木皮ふ科クリニック 副院長
皮膚科医/内科専門医/公認心理師
略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て大木皮ふ科クリニック副院長へ就任。

所属:日本内科学会

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