デュタステリドによる性欲低下やEDの副作用は?発生率と対処法

デュタステリドによる性欲低下やEDの副作用は?発生率と対処法

デュタステリドの服用を検討している方、あるいはすでに飲み始めた方にとって、性欲低下やED(勃起不全)の副作用は気になるポイントでしょう。結論から言うと、デュタステリドで性的な副作用が出る確率は全体の5〜16%程度であり、多くの場合は軽度かつ一時的です。

服用を続けるうちに自然と改善するケースも少なくありません。仮に症状が出たとしても、減薬や休薬などの対処法がありますので、過度に恐れる必要はないでしょう。

この記事では、臨床試験のデータをもとに発生率の具体的な数字と、万が一副作用が出た場合の対処法を詳しく解説していきます。

目次

デュタステリドで性欲低下やEDが起こるのはなぜか

デュタステリドの性的副作用は、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンを強力に抑えることで生じます。DHTは薄毛の原因となる一方で、性機能の維持にもかかわっているため、その減少が一部の方で性欲低下やEDとして現れることがあるのです。

デュタステリドはDHTを90%以上抑える強力な薬

デュタステリドは5α還元酵素(5αリダクターゼ)の1型と2型の両方を阻害する薬です。同じ系統のフィナステリドが2型のみを阻害するのに対し、デュタステリドは血中DHTを90%以上低下させます。

そのぶん薄毛に対する効果は高いとされていますが、DHTの抑制が強い分だけ性機能に影響が及ぶ可能性もゼロではありません。ただし、この影響が実際に症状として現れるかどうかは個人差が大きいといえます。

DHTの減少が性機能に影響を与えるルート

DHTは陰茎海綿体の平滑筋で一酸化窒素合成酵素(NOS)の活性を維持する働きを担っています。デュタステリドによってDHTが低下すると、NOSの活性が下がり、勃起に必要な血管拡張が起こりにくくなるという報告があります。

また、DHTは脳内の性欲中枢にも関与しており、血中濃度の低下がリビドー(性欲)の減退につながるケースもあるとされています。もっとも、テストステロン自体は大きく減少しないため、影響が出る方は限定的です。

デュタステリドとフィナステリドの薬理学的な違い

項目デュタステリドフィナステリド
阻害する酵素1型・2型の両方2型のみ
DHT抑制率約90%以上約70%
半減期約5週間約6〜8時間
承認用量(AGA)0.5mg/日1mg/日

プラセボ群でも性機能障害は報告されている

臨床試験では、偽薬(プラセボ)を飲んでいたグループでも4〜8%の方がEDや性欲低下を訴えています。つまり、薬とは無関係に一定の割合で性的トラブルを感じる方がいるということです。

薬の影響と心理的な要因を切り分けるのは容易ではなく、後述するノセボ効果の関与も指摘されています。

デュタステリドによる性欲低下の発生率を臨床データで確かめる

デュタステリドで性欲低下が起こる割合は、二重盲検試験でおよそ2〜7%と報告されています。プラセボ群との差は1〜3ポイント程度であり、統計的に大きな差とはいえないケースも多いのが実情です。

二重盲検試験で示されたリビドー低下の割合

AGA(男性型脱毛症)を対象にした国際的な臨床試験では、デュタステリド0.5mgを24週間投与したグループで性欲低下を訴えた割合は約5%でした。一方、プラセボ群でも約2%が同様の症状を報告しています。

日本人を対象とした52週間の長期試験でも、性欲低下の発生率は同程度にとどまっています。治療開始から6か月を過ぎると新たに発症する例は減少する傾向がみられました。

実臨床(リアルワールドデータ)で報告されている数字

スペインで行われた307例の後ろ向き研究では、性欲低下を理由に服用を中止した方は4例(約1.3%)にとどまりました。臨床試験と比較してもさらに低い数値であり、実際の診療現場では重篤な性欲低下は多くないといえます。

リアルワールドデータは試験環境とは異なるため単純な比較は難しいものの、実際に困って薬をやめるほどの性欲低下はまれであることを示しています。

年齢や服用期間による違いにも目を向ける

一般的に、加齢とともに性機能は自然に低下します。40代以降の方はもともとEDや性欲低下のリスクが高いため、デュタステリドだけが原因とは言い切れないケースも少なくありません。

一方で、20〜30代の若年層が服用する場合、もともとの性機能が高いため副作用に気付きやすい面もあります。年齢を問わず、気になる症状があれば早めに医師へ相談することが大切です。

デュタステリドの性欲低下に関する主な臨床データ

研究の種類デュタステリド群プラセボ群
AGA対象RCT(24週)約5%約2%
日本人長期試験(52週)約5〜12%
リアルワールド(307例)約1.3%(中止例)

デュタステリドでEDになる確率は意外と低い

デュタステリドによるED(勃起不全)の発生率は臨床試験で約5〜12%とされていますが、プラセボ群でも4〜7%程度の報告があり、薬そのものの影響による差はわずかです。多くの方は問題なく服用を続けられます。

二重盲検試験で確認されたED発生率

AGAの男性117名を対象としたランダム化比較試験では、デュタステリド群のED発生率は12%、プラセボ群は5%でした。数字だけを見ると差があるように感じるかもしれませんが、発症した方の大半は軽度の症状であり、服用を中止するほどの支障は報告されていません。

別の大規模試験ではED発生率がデュタステリド群で約5%、プラセボ群で約3%と、差はさらに小さくなっています。試験デザインや被験者の背景によって数字にはばらつきがあります。

デュタステリドのED発生率を試験別に比較

試験名・概要ED発生率プラセボ群
AGA対象RCT(117名・24週)12%5%
BPH対象大規模試験(2年)約5%約3%
低用量(0.2mg)試験3.6%7.3%

服用開始から数か月が副作用の出やすい時期

デュタステリドの性的副作用は服用開始後1〜3か月で報告が集中しています。韓国で行われた前向き研究では、勃起機能スコアが服用1か月目に最も大きく低下し、その後は3か月目にかけて回復傾向を示しました。

半年を超えると新たに副作用を訴える方は大幅に減少するため、最初の数か月を乗り越えられるかどうかが一つの目安になるでしょう。

メタ解析が示す5α還元酵素阻害薬全体のリスク

4,495名を対象にした系統的レビューとメタ解析では、5α還元酵素阻害薬全体で性機能障害のリスクはプラセボの1.57倍でした。デュタステリド単独では1.37倍であり、統計学的に有意な差は認められなかったと報告されています。

つまり、デュタステリドによるEDリスクは「ゼロではないがプラセボとの差は小さい」というのが現時点での医学的なコンセンサスです。

副作用が出てしまったら|デュタステリドの性的副作用への対処法

性欲低下やEDの症状が出た場合でも、対処法はいくつかあります。まずは自己判断で服用を中止せず、担当医に相談して今後の治療方針を一緒に決めることが何よりも大切です。

自己判断でやめずに主治医へ報告する

副作用が出たと感じたとき、真っ先にやるべきことは処方医への相談です。薬の影響なのか心理的な要因なのかを見極めるには、医師の専門的な判断が必要になります。

症状の程度や日常生活への影響を具体的に伝えることで、適切な対応を受けやすくなります。「何となく調子が悪い」ではなく、「いつ頃からどのように変化したか」を整理しておくとよいでしょう。

減薬・休薬で症状が改善するケースは多い

デュタステリドの半減期は約5週間と長いため、0.5mgを毎日服用する代わりに週2〜3回に減らす方法が試みられることがあります。タイの臨床試験では、週2回や週3回の服用でも一定の育毛効果が得られ、性的副作用の発生率は5〜10%にとどまりました。

完全に休薬する場合でも、多くの研究で副作用は服用中止後2〜6週間で解消したと報告されています。

PDE5阻害薬の併用や治療薬の切り替え

EDの症状が強い場合、シルデナフィル(バイアグラ)やタダラフィル(シアリス)などのPDE5阻害薬を一時的に併用する方法もあります。デュタステリドとPDE5阻害薬の間に重大な相互作用は報告されていません。

また、フィナステリドへの切り替えやミノキシジル外用薬への変更など、薄毛治療そのものを見直す選択肢も含めて主治医と話し合うことをおすすめします。

副作用が出た際の主な対処法と特徴

対処法期待できる効果注意点
減薬(週2〜3回に変更)副作用リスクの低減育毛効果も低下する可能性
休薬2〜6週間で症状消失薄毛が再び進行するおそれ
PDE5阻害薬の併用ED症状の改善別途処方が必要
フィナステリドへの変更DHT抑制が穏やかに育毛効果はやや劣る

デュタステリドの副作用は服用中止で回復するケースがほとんど

デュタステリドの性的副作用は「可逆的(元に戻る)」であるとする報告が大多数を占めています。服用を中止すれば数週間から数か月で性機能はおおむね元のレベルに戻ることが臨床試験で確認されています。

多くの試験で「可逆的」と結論づけられている

AGA患者を対象とした前向きランダム化試験では、性的副作用を経験した被験者全員が、治療中または治療終了後に症状が消失しました。服用を中止せずに継続していた方でも、時間の経過とともに症状が和らいだと報告されています。

BPH(前立腺肥大症)の長期試験でも同様の傾向がみられ、2年目以降に新たな性的副作用を訴える割合は1%未満に低下しています。

中止後の回復にかかる期間の目安

  • 軽度の性欲低下:中止後2〜4週間で改善
  • ED症状:中止後2〜6週間で改善
  • 射精障害:中止後4〜8週間で改善
  • 精液量の変化:中止後数か月で正常化

「ポストフィナステリド症候群」はデュタステリドにも当てはまるのか

フィナステリドでは、服用中止後も性的副作用が長期間持続する「ポストフィナステリド症候群(PFS)」の報告が一部であります。しかし、PFSは因果関係が医学的に確立されたものではなく、現時点では議論が続いている段階です。

デュタステリドに関してPFSと同等の持続性副作用を明確に示した質の高い研究は、今のところ見当たりません。とはいえ、異変を感じたら放置せず、医療機関を受診してください。

「副作用が怖い」その思い込みこそが症状を引き起こすノセボ効果

デュタステリドの副作用報告には「ノセボ効果」が少なからず影響していると複数の研究が示唆しています。ノセボ効果とは、薬に対するネガティブな期待が実際の症状を誘発・増幅させる現象のことです。

副作用の事前説明が発生率を押し上げた研究

BPH治療でフィナステリドを使用した研究では、「この薬は性的副作用を起こすことがあります」と事前に説明を受けた群で、EDの報告率が43.6%に跳ね上がりました。一方、説明を受けなかった群ではわずか15.3%でした。

同じ薬を同じ用量で飲んでいるにもかかわらず、事前情報の有無だけでここまで差が出る点は注目に値します。デュタステリドでも類似の影響が生じている可能性は十分に考えられるでしょう。

臨床試験の施設間差がノセボ効果を裏付けている

デュタステリドのAGA試験では、ある1施設だけでED報告の大半(12例中9例)が集中していました。研究者たちはこの偏りをノセボ効果の証拠と位置づけています。

インフォームドコンセントの伝え方や医師の態度が患者の不安を増幅させ、結果として副作用報告に差を生むという仮説は、他の研究でも支持されています。

過度な不安を手放すことが治療成功のカギになる

薬への恐怖心そのものが性機能に悪影響を与えるのがノセボ効果です。インターネット上の体験談を読み漁るほど不安が増し、症状が出やすくなるという悪循環に陥ることもあります。

  • 信頼できる医師から正確な情報を得る
  • 匿名の口コミよりも臨床データを重視する
  • 不安なときはパートナーや医師に率直に打ち明ける
  • 薬の効果と副作用のバランスを冷静に見つめ直す

デュタステリドの副作用リスクを減らすための生活習慣と通院のポイント

薬の副作用リスクを下げるためにできることは、日々の生活の中にも多くあります。テストステロンの分泌を健全に保つ生活習慣を整え、定期的に医師のチェックを受けることが、安心してデュタステリドを続ける土台になります。

睡眠と運動がテストステロンの維持を支える

テストステロンは主に睡眠中に分泌され、慢性的な睡眠不足はその量を大きく低下させます。1日7時間以上の質のよい睡眠を確保することは、性機能の維持に直結するといえるでしょう。

筋力トレーニングや有酸素運動もテストステロンの分泌を促進します。週に3回程度の適度な運動は、デュタステリドの影響を補うバッファーとして機能する可能性があります。

テストステロン維持に役立つ生活習慣

習慣推奨内容期待される効果
睡眠7時間以上の質のよい睡眠ホルモン分泌の安定
運動週3回の筋トレや有酸素運動テストステロン分泌の促進
栄養亜鉛・ビタミンDを含む食事性機能のサポート
ストレス管理瞑想・趣味の時間の確保コルチゾール抑制

アルコールや喫煙が性機能に与える影響を軽視しない

過度な飲酒はテストステロンの産生を抑制し、勃起機能にもマイナスに働きます。デュタステリドの副作用かと思っていた症状が、実はアルコールの影響だったというケースも珍しくありません。

喫煙も血管内皮を損傷させ、陰茎の血流を悪化させる要因です。禁煙だけでEDが改善した例は多数報告されています。薬だけに原因を求めず、生活全体を見直してみてください。

定期的な通院と検査がトラブルの早期発見につながる

デュタステリドを長期にわたって服用する場合、3〜6か月ごとの通院で血液検査やPSA値のモニタリングを受けることをおすすめします。副作用の兆候を早い段階で把握できれば、対応の幅も広がります。

治療の効果や副作用は時間の経過とともに変化するため、「変わりがないから大丈夫」と自己判断せず、定期的に医師と状況を共有してください。

よくある質問

デュタステリドの性的副作用はいつ頃から現れますか?

デュタステリドの性的副作用は、服用を開始してから1〜3か月以内に現れることが多いとされています。特に最初の1か月目が最も報告が集中する時期です。

ただし、6か月を超えて新たに発症する例は大幅に減少します。初期の段階で軽い違和感があっても、服用を続けるうちに身体が慣れて症状が消えるケースも少なくありません。気になる変化があれば、早めに主治医へご相談ください。

デュタステリドとフィナステリドではどちらが性的副作用のリスクが高いですか?

メタ解析の結果によると、フィナステリドの性機能障害リスクはプラセボ比で1.66倍、デュタステリドは1.37倍であり、統計的にはフィナステリドのほうがやや高い傾向にあります。

ただし、デュタステリドに関しては研究数がまだ限られているため、差が小さいことをもって「安全」と断定はできません。どちらの薬を選ぶかは、効果と副作用のバランスを医師と相談して決めるのが望ましいでしょう。

デュタステリドの服用中にED治療薬を併用しても問題ありませんか?

デュタステリドとPDE5阻害薬(バイアグラやシアリスなど)の間には、重大な薬物相互作用は報告されていません。EDの症状が気になる場合は、主治医の判断のもとでPDE5阻害薬を併用する選択肢があります。

自己判断で個人輸入した薬を併用することは避けてください。持病や他の服用薬との兼ね合いもありますので、必ず医師の処方を受けるようにしましょう。

デュタステリドの減薬(週2〜3回の服用)でも薄毛治療の効果は期待できますか?

タイで行われたランダム化比較試験では、デュタステリド0.5mgを週3回服用したグループで有意な毛髪密度の増加が確認されました。毎日服用するよりも効果はやや穏やかになる可能性がありますが、治療効果はゼロにはなりません。

週2回の服用でも進行を抑える効果は報告されています。副作用が気になる方にとって、減薬は治療を続けながらリスクを下げる現実的な選択肢のひとつです。

デュタステリドの服用を中止した後、性機能は完全に元に戻りますか?

臨床試験のデータでは、デュタステリドの性的副作用は可逆的であると報告されています。服用を中止した被験者のほとんどが、2〜6週間以内に症状の改善を経験しました。

ただし、デュタステリドの半減期は約5週間と長いため、体内から完全に薬が抜けるまでには数か月かかることがあります。中止後も症状が続く場合は、他の原因がないかどうかを医師に確認していただくことをおすすめします。

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この記事を書いた人

大木沙織のアバター 大木沙織 医療法人緑生会 大木皮ふ科クリニック副院長

名前:大木 沙織
大木皮ふ科クリニック 副院長
皮膚科医/内科専門医/公認心理師
略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て大木皮ふ科クリニック副院長へ就任。

所属:日本内科学会

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