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成分・効果抗炎症成分
Dr. 大木沙織

こんにちは、皮膚科医の大木沙織です。

育毛剤の成分表示を見ても、長い名前だけでは何のために入っているのか分かりにくいものです。グリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K)も、よく見かける名前の一つでしょう。

頭皮のかゆみと薄毛が気になるとき、同じ製品でどちらもケアできるのか、迷うことがあるかもしれません。

毎日使うものだからこそ、甘草という植物の由来なら安心なのか、敏感な頭皮にも合うのかと、気になる点もあると思います。

グリチルリチン酸ジカリウム(グリチルリチン酸2K)は、頭皮の荒れを防ぐ目的で育毛剤に入る抗炎症成分です。髪を生やす成分ではなく、髪が育つ土台である頭皮を整える側の役割を担います。

このページでは、頭皮の炎症と薄毛の関係を確かめたうえで、発毛の薬やステロイドとの違い、フケが続くときの考え方を整理します。

後半では、区分と効能表示から選ぶ手順、ほかの成分との組み合わせ、塗る場合と飲む場合で違う安全性の注意までをたどれます。

執筆・監修医師

大木皮ふ科クリニック 副院長 大木 沙織

名前:大木 沙織
大木皮ふ科クリニック 副院長
皮膚科医/内科専門医/公認心理師
略歴:順天堂大学医学部を卒業後に済生会川口総合病院、三井記念病院で研修。国際医療福祉大学病院を経て当院副院長へ就任。

所属:日本内科学会

グリチルリチン酸ジカリウムの役割は頭皮の荒れを防ぐこと

育毛剤を頭皮に塗る男性と、赤み・かゆみ・フケの3つの悩みを結んだ図

頭皮の荒れを防ぐことは髪が育つ土台のケアになりますが、それ自体が発毛を促すわけではありません。抗炎症とは、赤みやかゆみを伴う頭皮の荒れを抑える働きです。

フケやかゆみの予防を目的に選ぶ

フケやかゆみを予防しながら頭皮をケアしたい人には、この成分入りの育毛剤が選択肢になります。

グリチルリチン酸ジカリウムは甘草の成分から作る

甘草(カンゾウ)とグリチルリチン酸は、植物とその成分の関係です。

生薬の甘草には複数の成分が含まれ、グリチルリチン酸ジカリウムはそのうちのグリチルリチン酸から作ります。その抗炎症作用を目的とする医薬部外品では、承認された効能の範囲で頭皮や肌の荒れを防ぐために配合します。

育毛では頭皮の状態と薄毛の原因を確認する

頭皮の状態は髪が育ち、保たれる環境に関わります。ただし、赤みの有無だけで薄毛の原因を決めるのは早計です。

抗炎症のケアとAGAの治療は目的が異なる

薄毛の代表例である男性型脱毛症(AGA)では、男性ホルモンが大きく関与します。髪を作る組織である毛包のごく弱い炎症や、細胞に酸化の負担がかかる酸化ストレスも関連する要因です。薄毛が進むときは、頭皮のケアとともにAGAの診断や治療を検討します。

頭皮ケアは刺激の見直しから

頭皮の炎症と薄毛や抜け毛の関係を捉えるには、症状の経過も大切です。頭皮の赤み・かゆみ対策では、乾燥や製品の刺激を確かめ、強くこする洗い方や爪でかく習慣を見直します。

抗炎症成分と発毛成分・ステロイドの違い

荒れの予防、皮膚炎の治療、発毛の治療に使う3種類の製品を区分別に並べた比較図

頭皮の荒れを防ぐ成分、発毛を目的とする医薬品、皮膚炎の治療薬は、それぞれ目的が異なります。製品区分と使う目的を照らし合わせます。

成分・薬剤主な区分使う目的
グリチルリチン酸ジカリウム医薬部外品の有効成分など頭皮や肌の荒れを防ぐ
ステロイド外用薬医薬品皮膚炎などの治療
ミノキシジル外用薬医薬品適応に沿った発毛治療

抗炎症成分とステロイド外用薬は用途で区別する

グリチルリチン酸ジカリウムを「天然のステロイド」と呼ぶのは不正確で、ステロイド外用薬と同等の働きを期待する成分ではありません。頭皮の荒れを予防したいのか、皮膚炎の治療が必要なのかを確かめて、目的に合う製品を選びます。

育毛ケア中に続くフケは原因を確かめる

フケや脂漏性皮膚炎は、多くの人が経験する慢性的な頭皮トラブルです。育毛剤を増やして様子を見続けるより、症状に合う対処が必要になります。

抗炎症成分による予防と脂漏性皮膚炎の治療を区別

脂漏性皮膚炎は皮膚の病気で、抗炎症成分入りの育毛剤で治すものではありません。フケに赤みが伴う、かゆみが続く、症状が広がる場合は、皮膚科で原因を確かめて治療を受けるのが基本です。

育毛剤は濃度より区分と効能表示で選ぶ

育毛剤の外箱と容器から、区分・効能表示・容器の形の確認箇所を引き出した図

育毛剤の選択では、医薬部外品などの区分・効能の表示と、容器の形を確かめます。医薬部外品は、承認された範囲でフケ・かゆみの予防などの効能を表示できます。

濃度と成分表示は区分に応じて読む

グリチルリチン酸の濃度・配合量の数字だけでは、製品の適性を判断できません。成分表示は、化粧品では原則として配合量の多い順ですが、医薬部外品では有効成分とその他の成分を分けるなど表示の仕方が異なります。使用量は製品の用法に従います。

効能と塗りやすさを一緒に確認

頭皮が敏感な場合は、使う製品そのものが刺激のきっかけにもなります。購入前に確かめたいのは、次の項目です。

  • 製品区分 … 医薬部外品か化粧品かを確認する
  • 効能表示 … フケやかゆみなど、自分の目的と照らし合わせる
  • 容器と用法 … 狙った頭皮に指定量を塗れるか確かめる

抗炎症作用のある育毛剤の選び方では、塗布時の液だれも確認点です。たとえば、分け目に沿って狭い範囲へ塗るなら、先端の細いノズルで狙った頭皮に届くかを確かめます。

育毛成分は荒れの予防・血行・保湿の役割で見分ける

配合数の多さが効果の強さを示すわけではありません。頭皮の荒れを防ぐ成分と、血行や保湿に関わる成分を、目的に沿って確認します。

植物の由来より配合目的を確認する

甘草は抜け毛ケアに関する研究で検討されてきた植物の一つで、含有成分の抗炎症作用などが調べられています。甘草という植物の由来だけで安心と決めず、グリチルリチン酸と育毛成分の組み合わせを製品の配合目的に沿って確かめます。

センブリエキスと保湿成分にも注目

乾燥が気になる場合は、グリセリンなどの保湿成分も確認点です。グリチルリチン酸ジカリウムと一緒に配合する育毛成分には、血行に関わるセンブリエキスもあり、頭皮の悩みに合わせて各成分の役割を確認します。

グリチルリチン酸ジカリウムの安全性は使い方に応じて確認

頭皮に塗る場合と甘草を口から飲む場合の注意点を左右に分けた図

頭皮へ塗る製品では、塗った場所の変化を観察します。甘草を口からとる場合とは、体に入る経路や量が異なります。

使用後に赤みや刺激が出たら中止

グリチルリチン酸ジカリウムの副作用か、ほかの成分によるかぶれかは、成分名だけで決められません。使用後に赤みやかゆみ、ヒリつきが出たら使用を中止し、使った製品と症状が出た時期を控えておきます。

相談時には甘草の内服も伝える

甘草やグリチルリチンの過量な内服では、高血圧や血液中のカリウム低下を伴う偽アルドステロン症に注意が必要です。高血圧の治療中や、甘草を含む漢方薬を飲んでいる場合は、育毛剤の使用について医師・薬剤師に相談します。

育毛剤と偽アルドステロン症について相談する際には、製品の容器や成分表示と、服用中の薬が分かるお薬手帳を提示します。

よくある質問

グリチルリチン酸ジカリウム入りのシャンプーと育毛剤は併用できますか?

同じ成分が入っているだけで、併用の可否は決まりません。洗い流すシャンプーと頭皮に残す育毛剤では使い方が異なるため、それぞれの注意書きと用法を守り、両方を使ったあとに刺激やかゆみが増えていないかを確かめます。

グリチルリチン酸ジカリウムは歯みがきやニキビ用製品の成分と同じですか?

表示がグリチルリチン酸ジカリウムであれば、成分としては同じです。同じ成分を含んでいても歯みがきや顔用の製品は頭皮用に代用できないため、使う部位と目的に合う製品を選びます。

グリチルリチン酸ジカリウムの使用をやめるとかゆみが戻りますか?

中止後に必ずかゆみが戻るわけではありません。乾燥や製品の刺激などの原因が残っていれば再び気になる場合があるため、再開を繰り返す前に頭皮の状態やケアの内容を見直します。

グリチルリチン酸ジカリウム配合なら敏感肌でも使えますか?

抗炎症成分の配合だけで、敏感肌への適性は保証できません。実際に触れるのはほかの成分も含む製品全体なので、以前かぶれた製品や成分があれば表示を照合し、使用中も頭皮の変化を確かめます。

グリチルリチン酸ジカリウム配合製品と処方のステロイド外用薬は一緒に使えますか?

病気の状態や処方薬の使い方によって異なるため、一律には判断できません。診察時に頭皮へ使う製品名や成分表示を伝え、併用の可否と使用順、処方薬や育毛剤を休む必要があるかを確かめます。

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